紅牙:今回は重傷者数が半端無かったな。
緋水:……かくいう俺たちも、見事に重傷。まだ4ターン目だったんだが……。
紅牙:まさかあそこで脱落する羽目になるとは。
緋水:予想外……。
紅牙:……………。
緋水:……………………。
紅牙:…………とりあえず、儀式だけは阻止できたし。今は休んどくかー。
緋水:残った問題は、状況に変化があってから、考えれば………Zzzzz
紅牙:寝るのはえーな。
重傷後の二人です。
乱文だけど書き直すのが面倒くさい気力が足りないのでこのまま載せます。
心の広い方は反転でどうぞー。
「まさか落とせねぇとは……」
重傷を貰い見送った今回五度目の戦。
同時制圧は失敗に終わった。
どちらか一つすらも落とせなかった。
もう後がない。
俺も戦場に出てしまおうか。
重傷特攻は危険だが、後衛で遠距離攻撃をしていれば何とかなるかもしれない。
見ているだけは歯痒かった。
というか、暇だ。
ダークハンドを持って後衛にいてしまおうか。
解けた髪を一つに括りつつ、半ば本気で紅牙が考えていると、
隣から視線が送られているのに気づいた。
振り向けば、青い瞳と目が合う。
紅牙と同じく重傷になり、救護テントで一緒に身体を休めている緋水だった。
目が合った途端ふいと逸らされる。
よろよろと歩き出した緋水は自分で自分の足に躓きべしゃりと転んだ。
「何やってんだお前は」
起きようとするのを手伝ってやりつつ問えば、戦場に行く、との答えが返ってきた。
思いもかけない言葉に驚く兄を尻目に、緋水は続ける。
「後ろから回復する……前には出ない。だから、重傷でも平気」
「の訳ねーだろ」
緋水が全てを言い切る前に紅牙は言葉を被せた。
そもそも緋水は、重傷になった戦場でも遠距離から回復と攻撃をしていた。
敵から離れているとしても油断はできない。
紅牙は自分のやろうとしていたことを棚に上げてそう諭したが、
緋水が諦める気配はなかった。
「……あの時は、原初の吸血鬼が相手だった。
前にいた人間が殆どやられてしまい、俺も直接対峙した。
その結果戦闘不能になった……今度は近づかない。武器も変える」
「お前な」
「行くんじゃないのか」
「え」
「俺も行く」
紅牙は目を瞠った。まさか思考を読まれていたのだろうか。
弟はそれ以上何を言うでもなく、ただじっと見上げてくる。
兄の結論を待っている。
「………」
「………………」
「………………………」
参った、俺が悪かった。
死の確率が高いと分かっていて戦場に赴くわけにはいかない。
紅牙はため息をつくと、自分の頭よりも低い位置にある黒髪をくしゃりと撫でた。
「行かねーよ。大人しくしとけ」
死にたくない。死なせたくない。
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